□■□ 上手にハンダ付けする講座 □■□ [ハンダ付けしよう!] キットの製作
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<ハンダが上手くなる方法?>
 準備完了しました。さぁハンダ付けをしてみましょう。でも良く解らないもでチョット初心者向けに絵で順番を説明しました。わかりにくいかな!参考までに見て下さい。
 後はあなたの腕しだいです頑張って下さい。
準備名 順番 作業の説明(自分で工夫してやりやすい方法を探して下さい)
基板の名称を覚えよう! 基板に使われている名称を知ってますか?
 そこで基板の各部の名称をチョット学んでみましょう。
ハンダ付けしよう!  「ハンダ付けしたいけど」どんな風にやれば良いのでしょう?
初めての方ではわかりにくいので絵解きにしてみました参考にして下さい。
ハンダ不良の見分け方!  ハンダ付けしたけどこれで大丈夫かな!
初めての方ではわかりにくいハンダ不良に見方を学びましょう。
 1.基板の名称を覚えよう!
基板を見た図 説  明
プリント基板には、それぞれ名称がありますのでチョット勉強しましょう。
(若干の専門用語があるのでチョット紹介します。)
・板そのものを「プリント基板」とか「基板」と言います。
・部品の付く面を「部品面」と言います。
・はんだ付けする方を「ハンダ面」と言います。
・ハンダ面の銅箔部分をパターンと呼びます。
  このパターン(銅箔)に電気が流れることで回路ができます。
プリント基板の部品面側である。(レジスト無しの表側です)
・黒丸は部品のリード線の通る穴(ホール)です。
・白色の印刷は「シルク」と呼んでいます。このシルクは部品のガイド役です。
 シルクには図形で部品の形を表現して間違いがないようにしています。
 シルクの英数字は部品の型番や基板の注意事項が書かれています。
 シルクは部品の極性もわかるようにしています。
プリント基板のハンダ面側です。(レジスト有りの裏側ですね)
・黒丸は部品のリード線の通る穴(ホール)です。
 (両面基板ではスルーホールと呼びます)
・灰色の丸はハンダ付けできる部分です。(レジストが付いていません)
・グリーン部分はレジストと言ってハンダできません。
 (もちろん電気的に絶縁されています)
・濃いグリーンはパターンと言って「銅箔」部分です。
(この銅箔部分もレジストで保護されています)
プリント基板のハンダ面側です。(レジスト無し基板の裏側ですね)
・黒丸は部品のリード線の通る穴(ホール)です。
・灰色の丸はハンダ付けできる部分です。
 (この基板はパターンもハンダできます)
・レジストがないのでパターンがハンダメッキされている基板もあります。
 (キットによっては銅箔のままの場合もありますよ!)
 この場合は止めどもなくハンダが流れるので適量で止めましょう。
基板自体について。(標準的な色のイメージです)
・ガラスエポキシ基板 両面基板などでは標準品となっています。
・紙フェノール    電子工作にはちょうど良い基板です。
・ベーク版      基板としては割れやすいので最近はもう使わなくなりました。

基板関係の簡単用語辞典
名 称 説 明
ガラスエポキシ基板  両面基板では標準品となっています。とにかく簡単には割れません丈夫です。
紙フェノール  電子工作にはちょうど良い基板です。価格も安くベーク版より割れにくく加工しやすい基板です。クリーム色の他に茶色などもあるようです。
ベーク版  基板としては割れやすいので最近はもう使わなくなり現在は現在紙フェノールで茶色基板が主流のようです。工作用ではベーク版(銅箔無し)であるようです。
プリント基板  一面銅箔の基板だけでは何も役に立たないのでパターンを基板にエッチングして銅箔を溶かし、できあがった基板をプリント基板と言います。基板を見ると銅箔の道が見えるでしょう。
レジスト  銅箔の保護と絶縁を兼ねた緑色(最近は色々あるようです)の印刷した膜です。
基板の銅箔にハンダしたい時はこのレジストをカッターなどで削り取ってからハンダします。
片面基板の時は裏側のみで両面基板ですと当然ですが両面とも印刷されます。
シルク  部品の型番や向き、基板の番号などを基板に印刷した部分をシルクと呼びます。
これにより部品の差し間違えや製造過程のスピードアップなどが考えられます。
スルーホール  両面基板はハンダ面だけに銅箔のパターンがある訳ではなく部品面側にもパターンがあります。その為、部品面(上側)とハンダ面(下側)をどこかでつなぐ必要があるため部品の差す穴を「スルーホール」といって銅でメッキをしてつなげてあります。
ハンダメッキ  プリント基板はエッチングした後、銅箔の状態ですが、このままでは銅が酸化されハンダ付けがやりにくくなりイモ半の原因にもなり問題です。そのため銅箔部分の保護とハンダ付け向上をかねてハンダメッキする基板もあります。
 2.ハンダ付けしよう!
 簡単に絵で解説しましたので参考にして下さい。時間はおおよその秒数ですが、基板や部品の形状で時間を変えて下さい。抵抗などの部品はこの程度の時間でできるように頑張って下さい。
 大きい物を付ける場合は余熱の段階を多くしてハンダをチョット入れてみてハンダが溶けて流れる状態になるまで余熱して下さい。(但しあまりにも時間がかかる場合は別な問題があるかも知れませんよ)
【うまくできる、ハンダ付けのコツ!】
・ハンダの基本は焦らない
・確実な予熱をすること(この予熱がハンダ作業のなかでは一番長い時間ですよ)
・ハンダを入れるタイミングは最初のうち少しずつ入れリード線と銅箔がともにハンダが流れたらOK
・ハンダ入れた後は速やかにハンダごてを放す。(いじるとゴテゴテになるよ)
【うまくできる、ハンダ付け】
1.基本的なハンダ付けをアニメ化してみました。
  ※取り付ける部品により状況も変化しますのでご注意ください。
2.実際には自分のやり方を見つけてもっともやりやすい方法を見つけてください。
3.アニメの左下は秒であくまでも参考まで!
説明 時間
1.ハンダ付けを始めます。
・基板は動かないように固定しましょう。
・右手に鉛筆を持つようにハンダを持ちます。
(自分のやりやすい持ち方でかまいません)
・左手に5cm位先をのばし指でハンダを持ちます。
(自分の持ち手に合わせてね)
2.予熱をします。(ここがハンダ作業の決め手!)
・ハンダごてで基板の銅箔とリード線を同時に加熱します。
・コテ先に斜めの部分を利用して加熱しましょう。
・ここではじっくりと時間をかけましょう。
重要−コテ先の斜めの部分をフルに使い同時に加熱しよう。
3.ハンダ付けします。
・十分に加熱を確認したらハンダをコテ先に少し近づける。
・この時にハンダがなめらかに流れるようでしたらOK。
・富士山のような形を目指しハンダを追加します。
(多く入れるとデブハンダになるよ!)
4.再加熱して形を整える。
・適量になったらハンダを入れるのを止めます。
・ハンダ自体が全体に流れたらハンダごてを放しましょう。
 重要−ここの行程はなるべく早くコテを放しましょう
  (ゴテゴテの原因になるよ!)
 

5.放熱 すぐに動かしちゃダメ。
・ハンダごてをはなしましょう。
・このまま5秒以上待ちましょう
(すぐに基板を動かすとハンダがまだ固まっていないのでハンダが崩れてしまいますよ)
6.全てハンダ付けしよう。
・2本足なのでもう片方も仕上げましょう。
・両方とも富士山のようになったかな?
7.ニッパーできれいにカット!
・部品をもう一度確認して良ければカットしよう。
・ハンダの頭から1mmくらい残してカットしよう。
・これで完成です。次の部品へ進みましょう。
ダメ カットは慎重に!
・リード線カットの場合はハンダから1mm残してカットしよう。
 リード線は長くても短くてもダメですので慎重に!
・図のようなカットは悪い例です。
 3.ハンダ不良の見分け方!
 ハンダ付けが1つ終了したら、基板のハンダの仕上がり状態を良く見てみましょう。ハンダが次のようになっていないか調べて見ましょう。 (良く見ないと隠れている場合もあるよ! 完璧なハンダ付けを目指して頑張ろう!)
 <良いハンダ付け例>
・ハンダにツヤがある。(鉛フリーの場合は若干くすんでいます)
・銅箔一面にきれいに広がっている。(銅箔、ハンダ部分が全て見えなくなる感じ)
・なだらかに盛り上がっている。(ちょうど富士山のような形がベスト)
名称 完璧なハンダ 良いハンダ チョット限界なハンダ




これはお見事です。もうプロ並みの腕前!
この調子で頑張って下さい。
この程度であれば大丈夫です。ぜひ富士山のような形に挑戦して下さい。 とりあえず銅箔もリード線もハンダは付いてますので良いのですがチョット問題!



 何も言うことがありません、完璧な腕前です。この調子でどんどん進んで下さい。  後一歩です。ここまでできればもう少し練習するとすぐに「富士山タイプ」が完成すると思います。場合によってはハンダが少ないこともあります。もう少し足してみましょう。
本来は悪いハンダに入りますのでこうならないように頑張りましょう。コテ先をスライドするようにハンダを取ることもできますがチョットしたコツが必要。ハンダ吸取線で取ってやり直しましょう。

 <悪いハンダ付け例>
 うまくハンダ付けをしようと思い時間ばかりかけてしまい。「あっ」ゴテゴテになちゃうよ!
・ハンダの基本は焦らない
・確実な予熱をすること
・ハンダ入れた後は速やかにハンダごてを放す。(いじるとゴテゴテになるよ)
・ハンダを入れるタイミングは最初のうち少しずつ入れリード線と銅箔がともにハンダが流れたらOK
修正法
 下記の修正法でダメな場合は(自信がない場合やうまくいかない場合)はハンダ吸取線でハンダを取り除いてから付け直して下さい。キットを製作中に近くに知っている人(ハンダ付けの経験者)がいるときはコツを実際に教えてもらいましょう。
<悪いハンダ付けをまとめてみました>
ハンダ付け不良

ハンダ自体のつやが無く銅箔にハンダが流れているがハンダがゴツゴツ、トゲのような状態

 ハンダをきれいにしようとして時間を忘れ一生懸命ハンダをしたため熱の加えすぎでヤニが飛びハンダさえも酸化した状態です。コテ自体の温度が高い場合も考えられます。

 少しハンダを足すことで対処できる場合もあります。自信がない場合は一度ハンダ吸取線などでハンダを取り除き付け直すのが良いでしょう。
ハンダ・ツノ

ハンダごてを離すときにコテにハンダが付いてきてそのまま固まり「ツノ」ができる状態

 ハンダはきれいにできて最後の仕上げでツノがでる場合はコテ先の温度が高すぎる場合に起きやすいようです。この場合はこまめなコテ先クリーニングで温度調整してみましょう。いつもと同じなのに今日だけなどのときは室温にも影響するよ!

 少しハンダを足すことで対処できる場合もあります。自信がない場合は一度ハンダ吸取線などでハンダを取り除き付け直しましょう。
いもハンダ

銅箔にハンダが付いていないで「いも」のように丸まっている状態

 よく言われる「いもハンダ」の代表です。リード線だけ熱せられ銅箔にハンダが付かない状態です。探すのがチョット大変ですが良く見ると銅箔にハンダに付いていない所があると思いますので確認して下さい。コテの温度が低い場合も考えられます。

 この場合は、もう一度あたため直して(必ず銅箔とリード線一緒に)ハンダを少し入れると直ります。
ハンダ盛りすぎ

銅箔にこれ以上盛れにくらいにハンダが付いている状態

 これもよく言われる「いもハンダ」の代表です。ハンダ付け自体は上手くできていますのでハンダの入れる量を少なめにして調節してみて下さい。あと一歩ですガンバロウ!

 この場合は、コテ先をあててハンダを取りもう一度あたため直して見ましょう。自信がない時はハンダ吸取線などで取り除き付け直しましょう。
天ぷらハンダ

銅箔にはハンダが流れて付いているが良く見るとリード線には付いていない状態

 「いもハンダ」と同等になりやすい症状です。これは銅箔だけが加熱されリード線が加熱されていないためリード線にハンダが付かない状態です。見つけにくい場合がありますので「よーく」見て下さい。ハンダが足りなくてリード線が少し見えるなどは危ないです。ドーナッツ型で真ん中が開いている場合もあります。また部品のリード線が汚れている場合も考えられます。

 この場合ももう一度あたため直して(必ず銅箔とリード線を一緒に)ハンダを少し入れると直ります。
ハンダボール

ハンダがボール状になり銅箔にもリード線にもハンダが付いていない状態

 ハンダボールが基板に乗っているだけでリード線や銅箔には全く付いていません。ボールハンダを突っつくと取れるでしょう。加熱不足でリード線や銅箔に熱が届かずハンダがコテ先で溶けそのまま丸くなって固まった状態です

 取れる場合は取りますが、取れない場合は無理にしないでそのままハンダ付けをやり直すとうまくいくでしょう。
ハンダひび割れ

ハンダが終了したあとに部品が動きハンダにヒビがはいった状態

 せっかくバッチリなハンダができた後すぐに部品がずれた場合にハンダがひび割れや崩れたようになってしまいます。ハンダ後はソートしてから基板を動かしましょう。もし余裕があれば一息「ふ〜と」やさしくかけると素早く固まります。

 少しハンダを足すことで対処できる場合もあります。自信がない場合は一度ハンダ吸取線などでハンダを取り除き付け直すのが良いでしょう。
ハンダブリッジ

部品が込み入っている場所などで隣とハンダが付いてしまう状態

 せっかくバッチリなハンダですが「あれっ」隣のパターンとつながってしまった場合です。これは部品と銅箔を一生懸命温めていると何故か隣も温めている場合がありますこの時にハンダブリッジが起きやすいでしょう。周りを確かめてハンダしましょう。

 ハンダごてだけで取り除く場合チョット難しい場合もありますので一度ハンダ吸取線などでハンダを取り除き付け直すのが良いでしょう。
ハンダくず

パターンの間にハンダくずやリード線のハシ切れが付いてショートしている状態
 (ハンダ付け自体の問題ではない)

 せっかくバッチリなハンダですがハンダくず、ハンダボール、リード線のハシ切れなどがパターン残っていると問題ですのでブラシやピンセットなどで除去しましょう。

 よーく見て問題のハンダくずなどがありましたら取り除きましょう。またくっついている場合はハンダごてで取り除きましょう。
リード接触

リード線のカットが長く曲がっていて隣のパターンやリードに接触した状態
 (ハンダ付け自体の問題ではない、リードカットの問題)

 せっかくバッチリなハンダですが最後のリード切りで長めに切ってしまった場合にそのリードが曲がり接触することなどがあります。1本1本確認して切りましょう。

 よーく見て問題のジョンパーの曲がりや長すぎのリード線があれば切って短くしましょう。
リードカット

リード線のカットを短く切ってしまった場合
 (あまりにも短くするとハンダ付け自体もはがれ問題となります。)

 せっかくバッチリなハンダですが最後のリード切りで極端に短めに切ってしまった場合は状況によりハンダが剥離して部品が抜ける場合があります。1本1本確認して切りましょう。

 よーく見て問題が無いようでしたら、そのままで良いのですが部品を触ってぐらぐらするようでしたらもう一度ハンダ付けをやり直すか部品があれば新しい物と交換しましょう。

<ハンダ付けのコツを学ぼう>
 初心者の方では、どのようにしてハンダ付けをして良いかわかりませんし使い方もわかりませんのでもし参考になればやってみて下さい。但しすぐにはできないかも知れませんので練習して上手くなって下さい。




 ハンダの技(コツ?ワザ?)を伝授しよう。(慣れてくるとこんな感じでハンダを操作できます。)
コツ1  ハンダを吸い取らずに修正する方法
 まずコテ先を修正箇所にあててとかしその状態でほんの少しヤニ入りハンダを加えて下さい。このことでヤニがハンダを活性化させます。素早く修正して下さい。
 ここでまた時間をかけると意味がありませんよ!
コツ2  多めのハンダをハンダを吸い取り線を使わずにとる方法「その1」
なるべくコテ先をきれいにして取りたい所へ持っていき「そっと」ハンダごてをスライドしてむしり取るようにすると取れます。うまくいくと「ボッコリ」取れますが、うまくいかないときはチョットずつとれるでしょう。
できれば引力も利用して基板を立ててコテを下の方に降ろす感じで取ると普通よりは取れやすいと思います。
 最後に「コツ1」で最終的に修正しましょう。
コツ3  チョット強引ですが、どうしてもハンダを取りたいとき「その2」
机の上には何も置かないで下さい。汚くなっても良いようにして下さい。この状態で基板を片手で持ち、反対の手でハンダごてを持ち取りたい所を加熱して(いつもより多めに)すぐにハンダごてどけて基板を机にチョットだけたたきつけます。うまくいったら取れています。後は素早さのみ
(力一杯やると他の物が壊れるのでほどほどにね!)
コツ4  わざとハンダブリッジを作る。
キットでは、ジャンパーの変わりにハンダブリッジでSW代わりにする場合があります。
このときはいつもより多めのハンダで「そっと」ブリッジにしたいところをなぞりましょう。
余り遠いブリッジはできないよ! (慣れるとブリッジを付けたり、外したりできるよ)






<ヤニ入りハンダについて>
 昔はヤニ入りハンダが無くいちいちペーストを塗ってハンダ作業をしていましたが最近は「ヤニ入りハンダ」が主流となりました。そのためハンダがうまくいかないからと言ってペーストは付けないで下さい。
 <ヤニってなにしてるの!>
 昔は「松ヤニ」を使っていましたが最近は化学合成でかなり良いペースト、フラックスなどがあります。
このヤニの働きは何でしょう。実は意外にすごいことをしています、それはヤニに熱を加えると激しい還元作用が起こり、金属表面の酸化皮膜や汚れを除去することが出来ます。つまりハンダや銅箔を酸化(簡単に言うとサビですかね)からまもる働きがあります。

 <ヤニは万能?>
 ヤニ入りハンダはハンダの中にヤニが入っていて溶かすことで自動的にヤニも出てきます。このヤニがハンダの酸化を防止しています。
 でもこのヤニは万能ではありませんハンダ付け中に煙がでますが大事なヤニが熱で飛び、還元作用を終えたカスもあり時間が経つとヤニの機能が停止します。ようするに少しずつヤニ成分も無くなりますのでハンダを入れた後は素早くコテを基板から放す必要があります。
 <結論>
 と言うことで結論としてはハンダ作業は効率よく素早くハンダ付けすることが大事です。
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